予熱に関する建設現場イメージ
Preheating

予熱

Preheating

工事の種類
よねつ

予熱の必要性と目的

予熱は、溶接作業前に母材を加熱する処理で、冷却時の急冷による割れ(冷却割れ)を防止します。特に高張力鋼・厚板・大型部材では、溶接熱による応力集中と急冷による硬化脆化が溶接割れの主要原因となるため、予熱は必須の工程です。鋼材の炭素含有量や板厚が大きいほど予熱温度・予熱範囲が大きくなります。

予熱温度の決定方法

予熱温度は、JIS規格や鋼材メーカーの推奨値に基づき決定されます。一般的には、鋼材の炭素当量(Ceq)と板厚から予熱温度を算出します。例えば、SM490(高張力鋼)で板厚30mm以上の場合、100~200℃の予熱が推奨されます。JIS溶接では、予熱温度の厳格な規定があり、溶接管理において温度計による測定・記録が義務付けられています。

予熱の実施方法

予熱は、バーナー・電熱ヒーター・赤外線ヒーターなどで実施されます。現場では、ガス切断用のバーナーで予熱する方法が一般的ですが、均一な加熱が難しいため、均質な予熱を目指して加熱範囲・加熱時間・温度上昇速度の管理が重要です。特に冬季・低温環境では、予熱時間をより長く確保する必要があります。

予熱後の保温と層間温度管理

予熱後は、次のパス(溶接ビード層)を施工するまで、母材温度が低下しないよう保温する必要があります。この「層間温度」管理は、複数層溶接(積層溶接)で特に重要です。溶接管理では、予熱完了後から最終パス完了まで、温度を一定範囲に保つ管理体制が確立されていることが品質保証の要件です。

高張力鋼・厚板における予熱の重要性と実例

鉄骨構造では、大型梁・柱の溶接で高張力鋼(SN490・SN590)や厚板(50mm以上)を多用します。これらの材料では冷却割れリスクが極めて高く、予熱なしでは溶接品質の確保が不可能です。柴田工業での実績では、予熱を厳格に実施した工事では溶接割れゼロを達成していますが、予熱管理が甘かった現場では、溶接後のUT検査で割れが検出され、補修工事に多大なコストを要した事例があります。特に冬季施工では、大気温度低下により母材温度が急速に低下するため、継続的な保温・再加熱が必須です。最近では、赤外線温度計を用いたデジタル管理により、予熱温度の可視化・記録が容易になり、溶接品質の向上と施工管理の効率化が実現しています。

目的
冷却割れ防止・脆化防止
決定根拠
炭素当量(Ceq)・板厚・鋼種から算出
管理項目
予熱温度・保温・層間温度の測定記録

柴田工業の現場から

上沢 直二
上沢 直二 事務・現場兼務

予熱は溶接品質の基本です。特に大型部材の溶接では、予熱の良し悪しが最終的な強度に大きく影響します。当社では溶接工全員に予熱管理の重要性を徹底教育し、赤外線温度計の使用を義務付けています。これが低欠陥率につながっています。

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