
トルシアボルト
Torshear Bolt
トルシアボルトの基本特性
トルシアボルト(略称:TS)は、高力ボルト接合における革新的な部材です。通常の高力ボルトと異なり、ボルト軸部を故意に弱く設計し、一定のトルクで締付けるとボルト軸部がせん断破断する特性を持っています。
この設計により、施工者が目標トルク値に達した時点で自動的に破断が生じるため、複雑な「ナット回転法」や「定着圧力法」といった調整が不要になります。トルク管理の簡素化と施工効率化が実現され、鉄骨工事の工期短縮につながります。
トルシアボルトの構造と材料
トルシアボルト(M24×80など標準規格で供給)の軸部は、引張強度を持つ部分と弱いせん断破断部からなる二段階設計です。一般的にはボルト首部がくびれた形状で、ここがせん断面となります。
材質はSS490相当の高張力鋼で、JIS規格やJISS Z 1328などに基づいた厳密な品質管理が施されています。破断トルク値は製造時に設定され、供給段階で破断応力値が明記されているため、現場で計画的な施工が可能です。
トルシアボルトの施工方法
トルク管理の実施では、まずボルト穴に前処理(油分除去など)を行います。その後、トルクレンチ(通常は空気駆動)でボルトを締付けます。目標トルク値に達すると、ボルトがパチンという音を立てて破断し、施工が完了します。
破断ボルトはビスの頭部が脱落するため、目視で締付け完了を確認でき、後工程での検査(通り切り検査)が容易です。これにより、施工管理技士の検査業務が大幅に簡素化されます。
トルシアボルトの品質管理
トルシアボルト管理では、以下の項目を厳密に管理します:①納入時の破断トルク値確認、②締付け前の保管管理(湿度・温度)、③現場での破断確認記録です。
破断後のボルト回収も重要です。脱落したボルト首部は飛散防止のため、ネットで囲むか、作業員の保護具をしっかり装着して施工します。これが安全管理に関わる重要な配慮となり、労働災害防止につながります。
トルシアボルトと従来型ボルトの比較
従来の高力ボルト(M24)では、締付け後に軸力を確認するため「ナット回転法」を採用することが一般的でした。この方法では、初期締付け→ナット1/3回転→軸力確認という複数ステップが必要で、作業時間と熟練度が影響します。
一方、トルシアボルトは「トルク値 → 自動破断」の一段階で完了するため、作業員の技量差が少なくなり、品質のばらつきが大幅に軽減されます。また、破断確認が容易なため、後続検査の手間も削減できます。
費用面では、トルシアボルト単価は通常ボルトより約20~30%高くなりますが、施工工数削減により全体では経済的メリットが生じます。特に大規模プロジェクトでは、工期短縮に伴う資金繰り改善により、さらなる効果が期待できます。
柴田工業の現場から
トルシアボルトは本当に現場の負担を減らしてくれました。特に高所作業では、ナット回転の手間が省けると安全性も上がります。ただし納入管理がシビアなので、前納期から厳密に保管管理する必要がありますね。