カーテンウォールが施された高層ビル
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層間塞ぎ

Perimeter Firestop

防火・安全
そうかんふさぎ

層間塞ぎとは

層間塞ぎ(そうかんふさぎ)とは、建物のカーテンウォール(外壁)と床スラブ(コンクリート床)の隙間を耐火材料で塞ぐ防火工事のことです。「層間ファイヤーストップ」「ペリメーターファイヤーストップ」とも呼ばれます。

高層ビルや大型商業施設では、外壁にカーテンウォールや金属パネルが使われています。これらの外壁材と各階の床スラブの間には、施工上どうしても数センチ〜十数センチの隙間(層間部)が生じます。この隙間をそのままにしておくと、火災発生時に炎や煙がこの隙間を通って上の階へ一気に延焼してしまいます。

層間塞ぎは、この隙間をロックウール(岩綿)耐火シーラントなどの不燃材料で塞ぎ、各階を独立した防火区画として機能させるための極めて重要な工事です。目に見えない場所の工事ですが、建物の防火性能を根本から支える「命を守る」仕事です。

なぜ層間塞ぎが必要なのか

建築基準法では、一定規模以上の建物に対して防火区画の設置を義務づけています。防火区画とは、建物内を耐火壁や耐火床で区切り、火災が発生しても一定の範囲内に火を封じ込める仕組みです。

しかし、カーテンウォール建築では外壁が構造体(柱・梁・床)とは独立して取り付けられるため、外壁と床スラブの間に「防火区画の切れ目」が生じます。層間塞ぎは、この切れ目を塞いで防火区画を完全なものにする工事です。

実際に海外では、層間塞ぎの不備が原因で高層ビル火災が急速に拡大した事例が報告されています。2017年のロンドン・グレンフェルタワー火災では、外壁の防火性能の不足が被害拡大の一因とされました。層間塞ぎの重要性は、こうした事例を通じて世界的に再認識されています。

層間塞ぎの施工方法

層間塞ぎの施工は、以下の手順で行われます。

1. 隙間の確認・清掃 ── カーテンウォールと床スラブの間の隙間寸法を計測し、異物やホコリを除去します。隙間の幅は建物ごとに異なり、50mm〜200mm程度が一般的です。

2. バックアップ材の充填 ── 隙間にロックウール(岩綿)を密実に充填します。ロックウールは不燃材料であり、耐火性能に優れた繊維状の鉱物素材です。密度80kg/m³以上のロックウールを使用するのが一般的で、隙間なく詰め込むことが重要です。

3. 耐火シーラントの塗布 ── ロックウールの表面に耐火シーラント(不燃性の防火コーキング材)を塗布します。耐火シーラントは火災時に膨張して隙間を完全に塞ぐ膨張性(インテュメッセント)タイプが主流です。300℃〜400℃程度で数倍〜数十倍に膨張し、炎の通過を物理的に阻止します。

4. 鋼板による押さえ ── 必要に応じて、ロックウールの脱落を防ぐための亜鉛メッキ鋼板をビス留めして押さえます。特に隙間が大きい箇所や下向き施工の箇所では、この鋼板押さえが不可欠です。

5. 検査・記録 ── 施工完了後、充填状態の目視検査を行い、写真記録を残します。消防検査や建築確認検査の際に提出する証拠資料となります。

層間塞ぎに求められる性能

層間塞ぎには、建築基準法および関連告示に基づく耐火性能が求められます。具体的には以下の基準を満たす必要があります。

遮炎性 ── 1時間以上の耐火性能。片面から加熱した際に、反対面に炎が貫通しないこと。

遮熱性 ── 加熱面の反対側の温度上昇を一定値以下に抑えること。

遮煙性 ── 煙の通過を防ぐこと。煙による窒息は火災における死因の大半を占めるため、遮煙性能は極めて重要です。

これらの性能は、国土交通大臣認定を受けた工法・材料の組み合わせで確保します。認定仕様から逸脱した施工は法令違反となるため、施工管理による厳格な管理が必要です。

金属工事との関係

層間塞ぎは、金属工事金属パネル工事と密接に関係しています。カーテンウォールや金属パネルを施工する際には、必ずセットで層間塞ぎの施工計画を立てる必要があります。金属パネルの取付と層間塞ぎは、同じ工区で連続して施工されることが多く、パネル工事の職人が層間塞ぎの知識を持っていることが求められます。

見えない場所の、見えない危険 ― 層間塞ぎの現場

層間塞ぎは完成した建物では完全に隠れてしまう工事です。外壁パネルの裏側、天井の上、誰も見ることのない場所で行われます。だからこそ、施工品質の良し悪しは職人の良心にかかっています。

スーパーゼネコンの現場では、層間塞ぎの施工記録として全箇所の写真撮影が義務づけられています。施工前(隙間の状態)→ロックウール充填後→シーラント塗布後→鋼板押さえ後と、各工程ごとに写真を撮り、施工報告書として提出します。この記録は竣工後も建物のライフサイクルにわたって保管され、将来の改修工事の際に参照されます。

近年、超高層ビルの増加とともに層間塞ぎの重要性はますます高まっています。100メートルを超える超高層ビルでは、煙突効果(スタックエフェクト)により火煙が上昇する速度が加速するため、各階の層間塞ぎがわずかでも不完全であれば、上層階への延焼リスクが飛躍的に高まります。安全管理の観点からも、層間塞ぎは建物の安全を守る最後の砦と言えます。

目的
階をまたぐ延焼を防止
主な材料
ロックウール・耐火シーラント
性能基準
遮炎1時間以上・遮煙・遮熱

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢 直二 金属パネル・防火工事担当

層間塞ぎは地味な作業に見えますが、手を抜いたら人の命に関わる仕事です。ロックウールを隙間なく詰め込むのは見た目より難しくて、特にカーテンウォールの形状が複雑な箇所は熟練の技が必要になります。スーパーゼネコンの現場だと全箇所写真記録が必要で、施工管理の人が一箇所ずつ確認に来ます。「ここ、もうちょっと密実に詰めて」と言われることもある。でもそれが正しい。見えなくなる場所だからこそ、100%の仕事をしないといけないんです。

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