山留め計画書に関する建設現場イメージ
Slope Protection Plan

山留め計画書

Slope Protection Plan

管理の5本柱
やまどめけいかくしょ

山留め計画書の定義と目的

山留め計画書は、建築基礎工事における根切り施工時に、土留め構造の安全性と機能を確保するための重要な施工計画書です。深い根切りが必要な場合、周辺地盤が崩壊し、隣接する建物や擁壁、地下埋設物に被害を与えるリスクがあります。本計画書は、こうした事態を防ぐため、山留め方式の選定から施工、管理、撤去に至るまでの全体方針を示すものです。

特に都市部での建設工事では、隣接地まで浅いため、適切な山留め計画なしに施工することは許されません。地盤調査結果、隣接構造物の状況、工事期間、予算などを総合的に勘案し、最適な山留め方式を決定することが求められます。

計画書に含まれるべき主要項目

山留め計画書には以下の要素が含まれます:

  • 地盤調査報告書の記載:根切り範囲内の地層構成、地下水位、N値などの土質情報
  • 山留め方式の選定理由:親杭横矢板、SMW(ソイルセメント壁)、地中連続壁など、採用する方式と選定根拠
  • 山留め構造の詳細設計:親杭の径・ピッチ、横矢板の厚さ、腹起しの仕様、支保工の配置と強度
  • 隣接構造物への影響評価:変位予測値、振動・騒音管理基準、監視測定計画
  • 施工方法と施工順序:親杭削孔、横矢板挿入、腹起し設置などの施工手順と工期
  • 安全管理事項:崩壊防止対策、労働災害防止、緊急時の対応手順
  • 監視・測定計画:壁体の変位、沈下、地下水位変化などの測定方法と管理値

関連する安全基準と技術基準

山留め計画は建築基準法、労働安全衛生法、「建設工事の仮設構造物に関する基準」(日本建設業連合会)などの諸基準に準拠する必要があります。特に仮設工事安全教育の実施、現場全体での安全意識の醸成も重要です。

また、隣接地が歴史的建造物や文化財の場合、その保存計画も山留め計画に含める必要があります。地盤改良工事を併用する場合は、改良深度・改良幅とのバランス検討も欠かせません。

計画書作成の流れと関係者

山留め計画書は通常、仮設工事を担当する業者が主体となって作成します。しかし、その過程では:

  • 地盤工事業者:地盤調査データの提供、改良工法の提案
  • 鉄骨工事業者:基礎杭との関係性確認
  • 施工管理者:全体工程との調整、隣接地との折衝
  • 構造設計者:山留め構造の力学的検証

などが関わります。計画書の完成後は、建築主、隣接地の所有者、監理者、施工者が合意したうえで施工に進むことが重要です。

隣接構造物への被害リスク評価

都市部での根切り工事では、隣接する建物が近接していることが多く、山留め壁の変位が隣接建物に与える影響を厳密に評価する必要があります。特に、隣接建物の基礎が浅い場合や、築年数が古い場合、わずかな地盤沈下でも亀裂や不同沈下のリスクが高まります。

山留め計画書では、有限要素法(FEM)などを用いた数値解析で壁体の変位量を予測し、隣接地盤の沈下量まで算出することが標準となっています。そのうえで、隣接建物の基礎形式、建物の剛性、竣工年など様々な要因を総合的に判断し、許容沈下量を設定します。場合によっては、山留め前に隣接建物の被害状況を写真・測定で記録(事前調査)を実施し、後のトラブルに備えることも重要です。

計画作成の主体
仮設工事業者が主体となり、設計者・施工管理者と連携
評価項目
地盤データ、隣接構造物への影響、施工方法、安全管理、監視測定
重要性
根切り工事の安全性と周辺環境保全を統合的に実現する基本計画

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

山留め計画書の作成には、概ね2~3週間の検討期間が必要です。特に隣接地がある場合、地盤調査から設計検証まで時間がかかります。仮設工事業者との打ち合わせを早期に始めることで、全体工程への影響を最小限に抑えられます。コスト面でも、後からの変更は非常に高くつくため、計画段階での綿密な検討が重要です。

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