くさび設計に関する建設現場イメージ
Wedge System Design

くさび設計

Wedge System Design

工事の種類
くさびせっけい

くさび設計とは

くさび設計とは、鉄骨建柱時にベースプレートと基礎のアンカーボルト穴位置のズレを吸収するため、くさび形の金属部材(くさび金属)を用いる工法を設計段階で具体化する技術です。完全に一致する穴位置を実現することは実務上難しいため、くさびの傾斜角度と寸法を計算し、許容範囲内での位置調整を実現させます。

くさび設計は、建柱精度を確保しながら工事を迅速に進めるための実用的な工法として、特に仮設鍛冶工事の現場で重宝されています。

くさび設計の原理

くさび設計の基本原理は以下の通りです。

  • 穴位置ズレの許容値アンカーボルト穴径とボルト径の差(一般的に5~10mm)が許容ズレ
  • くさび形部材くさび金属の傾斜角度(θ:通常5~15°)により、水平方向のズレを上下方向の高さ調整に変換
  • 調整可能な範囲:くさびの厚さを段階的に用意し、ベースプレート位置を±20~30mm程度で微調整可能
  • 定着方法:調整後、トルク管理によるボルト本締めで金属くさびを固定

くさび設計では、複数のアンカーボルト穴について各々のズレ量を測定し、必要なくさびパターンを決定する「くさび配置図」を作成します。

くさび設計のプロセス

くさび設計は以下のステップで進行します。

(1)基礎実測:施工前に基礎上のアンカーボルト穴位置を正確に計測(特に4隅と中央)

(2)ベースプレート図の確認:設計図書で規定されるベースプレート設計値と実測値の誤差を算出

(3)くさび配置の決定:穴位置ズレの大きさ・方向に応じ、使用するくさび金属のサイズと角度を決定

(4)くさび準備:施工現場で使用予定のくさび金属を事前に調達・整理

(5)建柱時の調整:建柱時に仮ボルトでベースプレートを仮留めし、くさびを挿入して位置調整

(6)本定着:全穴にくさびが正確に設置されたら、トルク管理により本ボルト締めで固定

設計上の配慮事項

くさび設計の成功には、以下の配慮が必須です。

  • くさび金属の強度確保:圧縮応力による塑性変形や破損を防ぐため、高強度鋼(SS400以上)を使用
  • 複数ボルト穴への対応:各穴が異なるズレ量を持つため、パターン別の複数くさびセットが必要
  • 施工精度の限界:くさびで吸収できる範囲は一般的に±30mm程度。それ以上のズレは基礎修正工事が必要
  • くさび脱落防止:本ボルト締め前のくさび脱落を防ぐため、仮ボルトの確実な固定と安全教育が重要

また、添架柱定着設計などの複雑な接合部では、くさび設計の複雑さが増すため、施工管理技士による事前の綿密な打合せが必要です。

くさび金属の選定と計算方法

くさび金属の選定では、傾斜角θと厚さtから、水平吸収量Lが決まります。基本式は L = t / tan(θ) です。例えば、傾斜角10°、厚さ5mmのくさび金属は、約28.4mmの水平ズレを吸収できます。実際の現場では、複数のズレパターンに対応するため、厚さ3~10mm、角度8~15°の複数くさび金属セットを事前に用意し、現場での選別に対応します。くさび金属に求められる強度は、アンカーボルト間の柱応力を支える必要があるため、一般的にSS400(降伏点245N/mm²)以上の材質が指定されます。くさび脱落や斜め嵌合を防ぐため、くさび直ベースと組み合わせた施工も実務では標準化しています。

主機能
アンカーボルト穴位置のズレを吸収し、建柱精度を確保
吸収可能範囲
一般的に±30mm程度。くさび角度と厚さで調整
材質基準
SS400以上の高強度鋼。圧縮応力に耐える必要

柴田工業の現場から

佐藤世人
佐藤世人 工事部

くさび設計はホント現場の味方ですよ。基礎穴のズレなんて絶対避けられないから、これがあるおかげで建柱がスムーズに進む。ただし、くさびの準備と施工精度が重要。事前に必要な種類を揃えておかないと、現場で慌てることになります。

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