一括下請負に関する建設現場イメージ
Prohibition of Blanket Subcontracting (Ikkatsu Shitauke-oi)

一括下請負

Prohibition of Blanket Subcontracting (Ikkatsu Shitauke-oi)

管理の5本柱
いっかつしたうけおい

一括下請負とは

一括下請負とは、建設業者が請け負った建設工事の全部、またはその主たる部分を、自らはほとんど関与しないまま他の建設業者に請け負わせることをいいます。一般に「丸投げ」と呼ばれます。建設業法第22条は、建設業者が請け負った工事を、いかなる方法をもってするかを問わず一括して他人に請け負わせてはならないと定めています。同条は反対に、他の建設業者から工事を一括して請け負うことも禁じています。つまり出す側と受ける側の双方が規制の対象です。

この規制の背景には、施工責任の所在が曖昧になること、中間で利益だけを取る業者が介在して工事費が圧迫されること、技術力のない者が施工に関わり品質や安全が損なわれることへの懸念があります。発注者は元請の施工能力を信頼して契約するため、その信頼を裏切る行為とみなされるのです。

禁止の内容と例外

一括下請負には大きく二つの類型があります。一つは請け負った工事の全部を他社に請け負わせる場合、もう一つは工事の一部であっても、その主たる部分を他社に請け負わせる場合です。後者は、自社が他の部分を施工していても該当し得ます。また、自社が請け負った一つの工事を分割し、他の工事と分けて下請に出す場合なども、国土交通省のガイドラインで整理されています。

民間工事では、あらかじめ発注者から書面による承諾を得た場合には、この禁止規定が適用されない扱いがあります。ただし、共同住宅を新築する工事については、承諾があっても認められません。公共工事については、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律により、一括下請負は全面的に禁止されています。違反した場合は、監督処分(営業停止など)の対象となります。具体的な適用範囲は法令や国土交通省のガイドラインで確認する必要があります。

「実質的関与」とは

元請が下請に工事を出すこと自体は、決して違法ではありません。分業は建設業の通常の姿です。問題となるのは、元請が実質的に関与していない場合です。国土交通省のガイドラインでは、元請が施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導などを自ら行っているかどうかを、実質的関与の判断要素として示しています。具体的には、施工計画書の作成や承認、工程管理、品質管理、安全管理といった施工管理の中核業務に、元請の技術者が主体的に取り組んでいることが求められます。現場に現場代理人や主任技術者・監理技術者を置いているだけでは、実質的関与とは認められにくいとされています。

現場での注意

元請と下請の関係は、ゼネコンから専門工事会社まで多層に連なります。鉄骨工事や仮設鍛冶工事のように専門性の高い工事では、各階層の会社が自社の担う施工管理の範囲を明確にし、記録に残すことが重要です。施工管理日誌や打合せ記録、施工図の承認履歴などは、実質的関与を示す根拠になります。下請の立場でも、一括して請け負ってはならない対象になる点に注意が必要です。

下請側にも課される責任と実務上の線引き

一括下請負の禁止は、工事を出す元請だけでなく、丸ごと受ける側にも課されます。受ける側が「元請から全部任された」という状況は、一見すると信頼の表れのようですが、元請の関与が実質的にない場合には、双方が違反となり得ます。専門工事会社は、自社の請負範囲について元請がどの程度の管理・調整を行っているかを意識しておく必要があります。

実務上の線引きは、契約書の文言だけでは決まりません。工事の内容、施工体制台帳に記載された技術者の配置、元請が行う施工計画の立案や工程調整、品質検査への立会い、安全パトロールの実施状況などを総合して判断されます。たとえば鉄骨の建方で、元請が全体の工程と安全を統括し、下請が専門的な施工を担う形であれば、通常の分業です。一方で、元請が施工に関する指示も確認も行わず、名義だけを貸しているような状態は問題となります。

疑わしい場合は、自社の判断だけで進めず、国土交通省の公表資料や所管の許可行政庁の窓口に確認することが確実です。

根拠法令
建設業法第22条(出す側・受ける側の双方を禁止)
判断の軸
元請の実質的関与(施工計画・工程・品質・安全・技術指導)
例外と制限
民間工事は書面承諾で可能な場合あり。公共工事と共同住宅新築は不可

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

専門工事の立場でも、元請がどこまで管理に関わっているかは意識しています。記録を残しておくことが自社を守ることにもつながります。

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